株式会社カブクに出資いたしました

カブク kabuku

サイバーエージェント・ベンチャーズよりカブクへ出資

このたび、サイバーエージェント・ベンチャーズより、3Dプリンター等のデジタル製造ソリューションと3Dプリンターにより形成されたプロダクトのマーケットプレイスを運営する株式会社カブクにリードインベスターとして出資をさせていただきました。

 

金型からデータへ、時代が変わりつつあるものづくりの世界において、新プラットフォームをグローバルで本気で創造しようという気鋭のベンチャー企業を、シード期から応援することができ、新産業をつくりたいと願っていた一ベンチャーキャピタリストとしても大変嬉しく思っています。

 

本エントリーでは出資の背景や株式会社カブクがどういった取り組みを行っているかなどを書かせていただきました。

 

カブクの現時点での取り組み

現時点のカブクはBtoBの法人向けソリューションと、CtoCのマーケットプレイス事業を行っています。金型にとらわれず、3Dデータを作成し、アップロードするだけで、ものをひとつから作り、在庫無しで販売することができる。その仕組みを法人向けに提供しているのがデジタル製造ソリューション事業、クリエイター向けに提供しているのが「rinkak(リンカク)」というマーケットプレイス事業になります。このプラットフォーム/マーケットプレイスの裏側にはカブクが3DプリンターやCNC、レーザーカッターといった製造設備を有する世界中の工場をネットワーク化し(Shapewaysのように自社で設備は保有しないので多様なニーズに対応でき、適材適所での製造も可能)、素材や形状に合わせたものをつくれるように仕組み化(共同創業者の2人が過去研究をしていた人工知能を応用)しています。

 

マーケットプレイスに関していえば、例えば私が3Dプリント可能なデータがダウンロードできるサイトから3Dデータをダウンロードし、それをrinkakにアップロードして、あとはプラスチックとか陶器などの素材を選べば、1分以内に製品の見積もりが出てきます。あとはそれに必要な粗利を乗せてページを正式公開すれば、すぐさまその製品を世界中に向けて販売することができるという仕組みです。もちろん、実際には販売しないで自分用に買う、もしくは試作だけしたい、というニーズもあると思います。

 

上記マーケットプレイスで検証されたプラットフォーム基盤を、今後は本命である企業向けの製造ソリューションとして伸ばしていく予定です。そして当初は商品開発段階からクライアントさんと関わり、ときには共同プロジェクトとしてPRすることで、3Dプリンター(特に産業用)によるものづくりがギミックではないことを知らしめ、デジタルものづくりの世の中ごと化を急ぎます。ベンチャー企業として複数のプロダクトに取り組むことはハードルが高いですが、基盤がひとつであることと、あらゆるプレイヤーを巻き込んでいく必要があるため、この戦略で進めていくことになります。

 

カブクが実現したい新しいものづくりの世界

究極的にカブクが実現したいのは、AppStoreやGooglePlayでアプリをアップロードするだけで企業でも個人でも誰もが簡単に世界中に”もの”そしてものから得られる”体験価値”を届けることができるようにすることです。ものづくりにおける「アイデアを具現化する」ハードルを徹底的に下げ、法人・個人を問わず誰でもが参画できる、ユーザー発のものづくり基盤を拡張していくことです。まさに目指すは”ものづくりの民主化”ということになります。

 

従来型のものづくりといえば、まず金型をつくり、試作を数回繰り返し、と費用と時間を投入したうえで、最低ロットが必要なため在庫リスクを抱え、さらに販売のリスクも抱えるような世界でした。これが従来のハードルの高いものづくりでした。

 

現在一般の消費者が目にする家庭用の3Dプリンターではなく、すでに海外では重厚長大産業の一部で応用されつつあります産業用3Dプリンターが今後普及していきます。そのなかで低廉化と精緻化が一気に進む3Dプリンターを活用することで、データさえあればものが作れる世界が実現されていきます。

 

それにくわえて、従来の金型そのものも3Dプリントが可能になってきており、電子回路を3Dプリントする技術も出現しています。これらの技術を組み合わせ活用すれば”もの”と”アイデア”の距離が近づいていきます。

 

もちろん現時点ではまだ超えるべき技術的なハードルはあるでしょう。コストに合わない、とか、製造できるものが限られる、という話もあるでしょう。しかし私達がインターネット黎明期に電話回線でネット接続していた頃に、いまの高速インターネットがいたるところで実現されている状況を想像出来ていた方はどれほどいたのか、というお話です。

 

私は、早晩あらゆるものがデータから作られ、物流などの概念もつくられたものを運ぶ、ではなく、彼ら物流業者が適切な拠点で製造し運ぶ、といった形へ大きく変わるのではないかと思っています。

 

多くの不可能に見えた技術的な課題が解決され、インターネットの普及は一気に進んだように、同様のことがものづくりの世界においても起きると考えています。”もの”そのものへのニーズはこの世界に生きている限りなくならないでしょう。そのうちのどれだけがデジタルに移行するか。そのときに関所の立ち位置を取るのは誰か。いまじゃまさにデジタルものづくりの黎明期。これから製造業界におけるApple、Googleへとなってくれるベンチャー企業、私はカブクがその大本命だと思って投資をさせていただきました。

 

製造業のデジタル化が進む背景

上記のような製造業のデジタルシフトを後押しするものは何なのか?

 

1つは産業用3Dプリンターの基本特許が切れはじめ、今後大きく精緻化と低価格化が進み、普及期に入るということです。既に高額であっても実用されていることを考えると、シナリオとして妥当だと思います。おそらく今後はまず「3Dプリンターそのもの」を製造するプレイヤーがニュースなどで取り上げられるケースが増えていくと思います。そこからの健全な競争がものづくりのデジタルシフトを加速するでしょう。

 

もう1つは鍵となるデータ作成技術を持つ方が既に世界中にいるということです。日本だけをみても現時点でCADや3DCGツール等のスキル保有者は300万人いるとも言われています。ただそのスキルを形にする場所は多くなかったのです。その問題もカブクで解決していきます。マーケットプレイスという出口を用意して、3D技術者の方のマネタイズを支援するのはもちろん、スキルをこれから学びたい方に対しても「3Dプリンター実用ガイド」という書籍を出版して裾野を広げていきます。オウンドメディア「DigitalMadeMagazine」を運営していたり、2Dデータの3Dデータ化を支援するエンジンをつくるなど、すべて底上げのための施策になります。

 

最近だと自分の子供には英語とプログラミングを勉強させたいという方も多いですが、もしかしたらこれからは3Dデータの作成を勉強させたほうが良いかもしれません。データ作成がクリエイティビティの発露そのものになるのですから(123Designとか無料ツールも増えてきましたしね)。

 

想定するBtoBクライアントニーズ

今後本命となっていくと思われる企業向けの製造ソリューションについてですが、将来的にはあらゆるニーズに応えていきたいと思いますが、目下カブクが想定している企業側のニーズとしては、

  • 2Dのコンテンツ(写真・イラスト)、キャラクター・IPを持っていてモノ化・フィギュア化したい
  • 短納期、小ロットでノベルティを作りたい
  • 3Dプリンターを活用したキャンペーンを展開したい
  • 新規性を追求するためユーザー(クリエイター)を巻き込んだ商品開発をしたい

といったところになりますが、この先、キャンペーン/プロジェクト型の製造支援を積み重ねていくことで、自動車、建築、医療、航空、宇宙といった幅広い分野の最終製品そのものの製造受託を行えるようスピードを上げていって欲しいと思います。繰り返しになりますが、トップラインの制限がないマーケットの拡張可能性という部分にベンチャーキャピタリストとして大きな魅力を感じています。

 

カブクの共同創業者、経営チームについて

現在のカブクのチームは創業者の稲田氏・足立氏の2名のみです。彼ら2人ともが大学院での人工知能研究というバックグラウンドをもち、ビジネスパーソンとしてもCEOの稲田氏は博報堂での大企業向け新規事業開発において実績を持ち、CTOのadamrockerこと足立氏はのちにBaiduが買収したAndroid向け日本語入力アプリ「Simeji」の開発者、Google Developer Expertとしても界隈ではよく知られた人物です。この2人だけで会社を運営するわけではありませんし、もちろん、一筋縄ではいかないのがスタートアップ/ベンチャーの経営ですから順風満帆にはいかないでしょうが、この壮大なヴィジョンを実現するための最初の2人としては最高のチームだと思っていますし、これからさらに優秀な人材を仲間に引き入れて圧倒的なチームを作っていっていただきたいと思っています。私自身も投資担当としてだけでなく社外取締役という形でコミットさせていただきますので、事業開発や採用等の領域を支援をしていく所存です。

 

ものづくりならカブク、と言われるように、日本国内だけでなく世界展開も加速していきたいと思います。彼らはベンチャーと大企業の連携という意味でも重要な立ち位置を担うことになると思いますので、ものづくりに関するご相談、アライアンスのご相談などお気軽に投げていただけたら幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。

 

株式会社カブクについて