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Venturising

3つのECトレンド

このところEC分野のトレンドについて起業家と何回か議論する機会がありましたので、自分の考えをまとめておきたいと思います。

 

昨年あたりから出てきていたキュレーション、ソーシャル、サブスクリプションといった仕組みの切り口ではなく、買い物におけるユーザーの体験価値という切り口でいくつか仮説を立ててみました。

 

ユーザーは、”良いモノ”を”安く”、”気持ちの良い接客”を受けて買いたい

 

リアル店舗であってもECサイトであっても、ユーザーが買い物で得たい価値として、どこよりも安い商品かどこにもない商品か、という”商品の視点”と、他の店舗では受けられない”顧客サービスの視点”の二つがあると思っています。

 

商品の視点でみて、大きなトレンドとして不可避だろうというのは、本・衣服・家電などの分野の型番商品、つまりどこでも買える均質な商品であれば、早く・安く手元に届くECプラットフォームを選択する以外にないという流れ。だからAmazonのようないわば巨大な売り場面積を誇り、調達のメリットも享受しているECサイトで買うユーザーは増え、ユーザーごとの購入頻度も増え続けるのは間違いない。

 

とは言いつつもAmazonの領土が広がる一方で起業家に参入する余地はあると思っています。ここで顧客サービスの視点が出てきます。少し古いですが例えばZapposのように顧客サービスを徹底的に追求することで、ユーザーの買い物体験を素晴らしいものにして、店舗(ECサイト)に対するロイヤリティを醸成する方向などは十分ありうると思います。彼らが実践した、掛かってきた電話をこちらから切らないという対応や、自社の在庫がない場合には3社以上他サイトで検索をして探す、などの事例はご存知の方も多いだろう。これが驚異的なリピート率に繋がり、同社の成長のエンジンとなったと言われている。

 

私自身も証券会社の営業時代にどこで買っても同じ商品(株式)をいかに自分から買ってもらうかを試行錯誤していました。電話での声のトーンをコントロールしたり、適切なタイミングで自分のスパイスをかけた情報提供をしたり、工夫一つで顧客の信頼を勝ち得ることはできていたと思っています。

 

ただし、顧客サービスといっても多様であり、リアル店舗同様売り場の設計という意味でのUIの話から、サイト外での顧客とのコミュニケーション(電話?メール?チャット?)、情報提供の仕方まで打ち手は様々。商材やブランドの追求したい価値に応じて、例えば電話によるサポートを強化したり、製造過程をみて信頼性を上げるために工場見学を行う、といった手法を考えていく必要があるはず。また、一度購入したにも関わらず、その後購入をしていないという顧客に対する打ち手も工夫の余地があるのではないかと推察しています。人間は一度取った行動は時間が経過しても取りやすい性質があるので、リピート客のみを大事にするのではなく、購入経験はあるが疎遠になっている顧客に対するおもてなしというのはネットでもリアルでも効くのではないかと思います。DMの分野でやずやの休眠顧客に対するアプローチ、成功事例など応用できないかなと。

 

また、展開する国によって制約条件が異なるので、必ずしもAmazonがワークするとは限らないというお話。東南アジアなどの一部ではまだクレジットカード決済が普及していなかったりロジスティクスが弱いというハードルがあり、ゆえに自社の社員が配送を行い、代引きで料金回収もしていくようなローカルのECプラットフォームが先に成長しているという現状もあります。

参考:ベトナムのEコマース市場の現在と2014年見通し

 

 

もう一つの流れは、そこでしか買えない商品を手に入れられるECプラットフォーム。

 

例えば、自分と同じTシャツを着た人を街で見かけたとします。さすがにその横に誇らしげに並びたいとは思わないはずです。その次にユーザーが起こしたいアクションとしては、新しいTシャツを買いに行くか、自分でTシャツをデザインするか、ではないでしょうか。

 

上記選択肢としては、”優良な新興ブランドを探す”か、”完全オーダーメイド”する、のどちらかなのではないかと思います。これはあらゆる商品・製品において言えるのではないかと思っています。

 

新興ブランドについては、大規模プロモーションをしていない、そもそも少数限定販売、などの理由で一般的には知られていないもののクオリティの高い製品を提供するブランドをイメージしています。日本でいえば出てきたばかりのときのAmadanaの製品に感動をしたのを思い出します。

 

最近の米国でいうとスニーカーのGreats(日本から買えないけど欲しい・・)、のようなブランドに注目しています。彼らは中間流通を省くことで高品質かつ低価格の商品を提供していますが、立上げ前から動画でユーザーに創業のストーリーを披露して期待感を高めたりと、価格がリーズナブルであることよりも、ベーシックだけれどもクオリティの高いオリジナル製品を販売している、新しいオリジナルブランドであることを訴求していることが、ユーザーの興味を惹きつけている理由なのではないかと思います。日本でこれをファッションの分野でうまくやっているなと思っているのがFactelier(ファクトリエ)です。彼らはMade in Japanで世界へというヴィジョンの元、高品質なベーシックアイテムを手ごろな価格でユーザーに届けています。

 

オーダーメイドについては、消費者自身が製造工程に加わることでオリジナル商品を生み出すプラットフォームを想定しています。米国で言えばQuirkyShapewaysのようなアイデアから製品化までを支援するプラットフォーム(もはやファブレスメーカーといっても良いかもしれませんが)はあらゆるモノづくりを民主化する可能性を秘めていると感じています。日本でもrinkakwemakeのようなサービスが既に出てきています。

 

まとめると、目新しい商品が欲しい、自分だけの商品が欲しい、気持ちよく買いたいというユーザーニーズに対して、以下の方向性で商機があると仮説を立てています。

 

  • 成功しているリアル店舗のノウハウをUI/UXに落とし込んだ気持ちよく買えるECサイト(モバイルファースト)
  • 価格に対する満足度の高い商品を提供する新興オンラインブランド(泥臭い実行力とブランドのストーリーづくりにセンスが必要)
  • デザインや製作のハードルが低く誰でも簡単に自分のオリジナル製品を生み出せるオーダーメイドプラットフォーム(啓蒙活動と資金力が必要)

 

いずれにしてもユーザーの買い物体験を起点としてもっと深く掘り下げていくことで成功するECサービスがまだまだ生み出せるのではないかと思っています。

 

上記以外にも、私はこういうの考えてます! という方がいらしたらぜひお声がけ頂けたら幸いです。

 

余談:最近またダイエットを始めまして、体重の記録用にリクルートさんのRecStyleというアプリをDLしたのですが、2回目以降は数字を打ち込むのではなく、目盛を指一本で動かすだけというUI/UX設計が秀逸で感動しました。他の数字入力が必須なモバイルアプリでもこういった動きは増えそうですね。

 

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