事業計画書の書き方とその意味

事業計画書の存在意義

「どうせベンチャー企業の事業計画なんていいかげんだし、御社のも信じてないから」と言われたことがあるような記憶もある竹川です。見てから言ってください(心の声)。

 

ベンチャーキャピタリストの仕事は有望な投資分野・スタートアップを探したり、投資先のバリューアップのための事業ノウハウの提供やアライアンス支援や財務アドバイスなどいくつかありますが、大半の方が多くの時間と労力を割いているのは事業計画の吟味じゃないかなと思っています。

 

私も、11月の入社以来、幸いご縁があって知人・友人から起業家の方をご紹介いただいたり、直接ご本人からご相談頂くケースなどもあり、毎日のように新しい事業計画に触れることができエキサイティングなのですが、、、起業家ご自身の考え方をうまく盛り込めていないケースも多々あり「もっとこう書いたら良いのにな」と感じていることもありまして、そのあたりの話題を本エントリーで書こうと思います。

 

テンプレートの類は色々ネット上に落ちていると思いますので、それらはご自身で手に入れてもらうにして、本質的なお話を。

 

私自身も冒頭に書いたように前職で軽く扱われたこともあったりなかったりしますので(笑)、身につまされたという前提でお読みください。もちろんバリバリの私見です。

 

仮説を積み上げて、丁寧に因果関係を書ききること

「起業家」「スタートアップ」と「事業」の因果関係。なぜ貴方はその事業をやるのか? 動機の説明ですね。自分自身がその事業に賭ける思いや動機の強さはその成否やブレイクスルーまでの粘り強さにつながります(と私は考えています)。ピボットするにしても、同じドメインでピボットするくらいの強い動機が欲しいです。

 

「課題」と「事業」の因果関係は、本当にその顧客が抱えている課題をその事業で解決できるのか? ということです。サービス提供側のロジックだけで成り立つ事業はありません(意図しない方向の顧客に刺さるケースも当然ありますが)。

 

「売上高」=「顧客数」×「販売個数」×「販売単価」

 

という式も因果関係のひとつ。

 

ここまでは簡単なので誰でも書けますが、たとえば、100万円の売上高を100人×2個×@5,000円で達成するという数値計画を立てたならば、なぜ100人なの? なぜ5,000円なの? なぜ2個売れるの? 100万円を売り上げるためにその構成で良いの?(1,000人×500円×2個とどっちが確からしいの?)

 

これらの疑問を説明しなければいけません。このあたりから勘に頼る方と仮説を緻密に積み上げることができる方との差がついてきます(勘でうまくいくケースもあるのも理解しています)。

 

ターゲット顧客数の算出ひとつを取っても、市場調査の客観的データだけで説明することは難しく、さらなる仮説を立てていく必要があります。

 

たとえば「市場調査からもスマートフォンユーザが20XX年には○○人に増加します、そのうち現在○○という嗜好性を持っているひとは、○○人まで急増すると想定していて、彼らはこのサービスに○○円を支払うはずだ、なぜなら実際に現在20~30代のユーザは○○円を○○という消費財に使っているというデータがあり、アプリ化することでそのうちの○○%はユーザとなると他のジャンルの事例からも想定でき、そこから推計すると・・・」と、ちょっと乱暴ですが、つながりを切らないで説明ができるかどうか。

 

そして事業計画は計画通りにいかないことがほとんど

残念ながら、上場企業であっても、計画通り100%ぴったりに業績が推移する会社はほぼいないでしょう(精度の違いはありますよもちろん)。ただし、すべての因果関係が「投資家への説明責任」という名のもとに詳らかにされなければならないのは確かです。なぜ業績が上振れしたのか、下振れしたのか、必ず説明する責任があるのです。

 

何が言いたいかというと、事業計画は数字当てゲームをするためではなくて、具体的な行動計画・行動指針を示すためにあるということです。因果関係を示したなかで、どの要素が想定通りに行ったか行かなかったかをすぐ知ることができるようにするためにこそ、事業計画があるということです。

 

スタートアップ企業においても、そもそもの仮説の精度が低い場合は「ベンチャー企業の事業計画なんて」と投資家に言われても仕方ないかもしれません。でも、緻密に作り上げたという自信があるならば、ぜひ思い切ってぶつけるべきです。厳しいフィードバックがあるかもしれませんが、その事業計画を投資家に向けて自分の言葉で説明して納得してもらう努力をすることは、資金調達の成否以上に、自分たちの価値を知る、再発見するという意味で本当に役立つと思います。私自身もそうでしたからそれは間違いありません。

 

私が思う事業計画を緻密につくり上げるべき理由は、投資家を説得して資金調達を果たすためではなく、自らの行動をあらゆる角度から検証できるベースを作るため、に尽きます。

 

いつまでに何をやるのか。なぜ失敗したのか、なぜ上手くいっているのか。すべての因果関係が掴めてさえいれば、即座に環境の変化や不測の事態にも対応できる(もしくは対応できないと知ることができる)からです。

 

自分たちのために書きましょう

羅針盤のない航海がありえないように、事業計画のない経営はありません。そして、事業計画は会社を動かすうえでは上場だろうが未上場だろうが、なくてはならないものだと思っています。自分たちのことなのだから、緻密すぎるほど緻密でも全く問題はないということがお分かり頂けるのではないかと思います。

 

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