有望なベンチャー企業の探し方

ソーシング(有望スタートアップ企業の探し方)

ベンチャーキャピタリスト@CAV竹川です。

普段私がベンチャーキャピタリストとして行っていることのうち大切なことのひとつは有望なスタートアップ企業・起業家候補の方とお会いしていくことなのですが、二つアプローチ方法を取っています。

  1. 興味のある(=有望と思われる)分野で既に事業を展開している会社を探す→シードラウンドでの出資を検討
  2. 興味のある(=有望と思われる)分野の事業を立ち上げられる仲間を探す→設立出資を検討(実際には創業者と同バリュエーションではないのでタイミング的に近いのと会社設立前に投資の意思決定をしているという意味)


いずれも自分自身が「これが有望だ」という思いがあったうえで、その分野で既にサービスをローンチしているスタートアップ企業があれば、アプローチをする。いなければそこで勝負できる起業家候補の方を探す、という動き方をするということですね。

 

具体的には紹介を依頼したり、直接問い合わせたり、イベントでつながったりなどがあります。

ではそもそも、その事業を有望だと思う基準は何なのか?

 

市場機会とビジネスモデルの視点

まずはビジネスとして市場機会があると思えるかどうか。例えば「クラウドソーシングやクラウドファンディングのような、個の力をエンパワーメントするようなCtoC事業」や「高齢化社会において国内外で必要とされるだろう事業」や「レガシーな事業者により寡占されているが顧客満足度は低下している領域の改革を目指す事業」というような、「社会環境やデバイスの変化によって顕在化しつつあるまだ多くの人に着目されていないユーザーのニーズを満たすような事業か」どうか。それに取り組んでいる会社がまだいない、もしくはいてもまずいやり方をしているような状況が望ましいと思います。そこで市場を寡占し、それを足掛かりに周辺領域へ事業の手を伸ばしていくのが王道かなと。


そして私がもう一つの視点は「利益率がある程度高いビジネスモデルなのか、または事業を継続することで高めていける可能性があるのか?」という収益性の観点です。市場機会がありプレイヤーが少なければ自ずと利益率は高く参入できると思いますが、それをロングタームでみたときにどうなるかという視点を持つと良いと思います。

 

シンプルに、誰がいくらこのサービスにお金を払ってくれるのか、それに対していくら費用がかかるのか。利益率といっても営業利益よりは粗利(売上総利益)を見ようという話ですね。売上原価のうち、固定費用は今後どれだけ圧縮の余地があるのか? とか、どうしても必要になる変動費用を考えたときにそもそも適切な売価なのかという価格設定の問題など(途中から価格を上げるのは難しいので)。例えば労働集約型で参入障壁が低く(潜在的な)競合が多い事業だと、価格勝負(値下げ競争)になり、いずれ収益性が低下し事業の継続が難しくなります。当然そのような事業を考えているスタートアップがあったとしたら投資は難しいと思います。

経営者として実際に事業運営してきた経験からも売上高のトップラインを追うことの大切さも分かりますが、企業として利益率が向上(ないしは維持)していかないことは経営上のリスクだと感じています(特にインターネットやIT領域において効率化が図れないビジネスモデルというのはその価値を活かしきれていないとも考えられますので)。

C向けのプロダクト/サービスを前提として考えた場合、

  • ユーザ数の増加に伴い一定の割合で投資がかからないか?(固定費の変動費化の余地がないか)
  • ユーザのリピート率が上がることで、コストが下がるか?(LTVの増加)
  • 従量課金と定額課金、どちらが適当か? それは今だけ? 将来も維持できるのか?(価格設計)
  • フリーミアムモデルがフリーモデルで終わってしまわないか?(ユーザーニーズの正しい把握)
  • 人件費は妥当か? 増員で本当に生産性は上がるのか?(労働生産性)

といった点に一工夫、二工夫があると、魅力的な市場や事業や経営チームに相まってさらにVCや投資家・金融機関からも評価が高まるように思います。

価格政策と原価・費用計画にしっかり目配りをすることで、より事業を魅力的に表現することは可能ですので、これから事業計画書を作成する、もしくはブラッシュアップする、という起業家の方は事業そのものの”機会”だけでなく、”収益性”についても考えてみると良いのではないかと思います。

 

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